2009年1月20日 (火)

「避妊用ピルが環境を汚染」、カトリック医学協会が見解示す

【1月5日 AFP】ローマ法王庁が発行する日刊紙「オッセルバトーレ・ロマーノ(L'Osservatore Romano)」に3日、「経口避妊薬は環境を汚染し、男性不妊の原因ともなっている」との見解を示した報告書が掲載された。

報告書では、カトリック医学協会国際連盟(International Federation of Catholic Medical Associations)のペドロ・ホセ・マリア・シモン・カステルビ(Pedro Jose Maria Simon Castellvi)総裁が、「ここ数年で、経口避妊薬を服用した女性の尿を通じて、数10トンものホルモンが自然界に放出され、環境に壊滅的なダメージを与えている」と警告。

また、「欧米社会における男性不妊の原因は、大部分が経口避妊薬による環境汚染によるものだと示す充分な証拠がある」「(経口避妊薬)メーカー側の説明も求めていくべきだ」などとも述べている。

この見解に対し、複数の機関が直ちに反論を寄せている。

ある避妊薬の研究機関は、「経口避妊薬として服用し体内に取り込まれたホルモンは、再び女性ホルモンの特性を持つことはない」とのコメントを出した。イタリア薬理学協会も、「ピル(経口避妊薬)に含まれるエストロゲンなどのホルモンは、プラスチックや消毒剤、食肉など、身の回りのあらゆる所に存在するものだ」との見解を示した。

ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)は前年10月、妊娠中絶に反対する教会の立場を改めて鮮明にしている。(AFPより)

《コメント》

確かに、プロゲステロンやエストロゲンといった化学物質は自然分解しにくいようです。ピルの摂取は世界的に爆発的に増加していますから、カトリック医学界が警鐘を鳴らしている内容はまっとうなことでしょう。不要なピルの使用、例えば、「きれいになるピル」といった使い方を減らすだけでも、自然界に放出する人口ホルモンは減らされるのではないかと思うのですが。

iPS細胞から精子・卵子の元、不妊治療に応用も

様々な細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)から精子、卵子の元になる始原生殖細胞を作り出すことに、京都大学と三菱化学生命科学研究所の研究チームがマウスを使って初めて成功した。

人間への応用につながる成果で、不妊の仕組み解明や新たな不妊治療へ道を開くと期待される。

研究チームは、マウスの肝臓から増殖能力の高いiPS細胞を作製、iPS細胞が作り出す特有のたんぱく質に反応すると緑色に光り、始原生殖細胞に特有のたんぱく質ができた時には、赤く反応するように工夫した。当初、緑色だった試験管の細胞は約3週間後には、赤く光った。細胞を調べると、精子の元になる細胞特有の遺伝子が確認されたほか、卵子の形をした生殖細胞も生成されていた。(読売新聞より)

《コメント》

近い将来、採卵や採精といった手順が割愛される可能性があるだけではなく、例えば、既に採卵ができない年齢に達した女性の卵子を作りだすことも可能であることを示唆する記事です。倫理面や宗教学的な方面からの反対意見が出てくる研究になりそうです。

2009年1月15日 (木)

受精卵呼吸量で差 体外受精 妊娠率1.5倍に 山形大など研究

不妊治療で体外受精をする際、活発に呼吸している受精卵を選んで母体に移植すると、妊娠率を高められそうだとの研究を、セント・ルカ産婦人科(大分市)の宇津宮隆史院長と阿部宏之山形大准教授(生殖生物学)らのチームがまとめた。

妊娠につながりやすい受精卵の選択は、患者の負担を減らすためにも重要だが、従来は見た目のきれいさで判断するしかなかった。今回、呼吸量も判断に加えたところ、妊娠率は見た目だけで選んだグループの一・五倍だったという。

チームは昨年十一月の米生殖医学会で発表、「注目すべき成果」として学会賞を受けた。

阿部准教授は、受精卵が消費する酸素量を、受精卵を傷つけずに測定できる装置を開発。これを日本産科婦人科学会の承認を得て、セント・ルカ産婦人科で使用した。

不妊患者計四十一人を二グループに分けて検討した結果、受精卵の形状の良さだけで選んだ受精卵を子宮に戻した二十一人では、妊娠は八人(38%)だったのに対し、受精卵の呼吸量が、過去のデータから算出した平均値より多いことも選択基準に加えた二十人では十二人が妊娠(60%)、一・五倍の妊娠率になった。

一方、受精卵の呼吸量が平均の二倍以上だと、逆に妊娠率が落ちることも判明。宇津宮院長は「受精卵を選ぶ客観的な基準が求められていた。呼吸量は有力な候補になる」と話している。(東京新聞より)

《コメント》

実は、この呼吸量は培養速度に比例しています。培養速度が速すぎると妊娠率が落ちることは知られていますが、培養速度が速ければ速いほど、受精卵呼吸量は増えます。呼吸量を測定するよりも培養速度の方が簡便だと思うのですが、いかがでしょうか。

2009年1月 8日 (木)

不妊治療:病院側も不安 「精子混同」などヒヤリ半数--全国114施設調査

体外受精や顕微授精など不妊治療に取り組む医療施設を対象に「蔵本ウイメンズクリニック」(福岡市博多区)の福田貴美子・看護師長らの研究グループが全国調査。回答した114施設のうち、人工授精時の精子の混同や患者違いなどの事故を「身近に感じたことがある」と回答した施設が約半数あった。また施設内に「医療安全管理委員会」を設置している施設は約9割に上り、事故防止への意識の高さがうかがえた。

国内の総出生児に対する体外受精児は05年で約55人に1人の割合を占める。不妊治療の果たす役割は年々大きく、安全管理は急務とされる。研究グループによると、不妊治療現場の事故に関する調査は過去に例がないという。

調査は07年7月末時点で日本産科婦人科学会に登録する594施設を対象に郵送でアンケートを実施し、調査期間は07年12月~08年1月。

回答では、ヒヤリハット事案も含めて▽胚(はい)の取り違え▽人工授精時の精子の混同や患者間違い▽器具落下による卵の破損▽承諾を得ず凍結精子の破棄▽精子の名前の誤記入--などの生殖医療特有の事例が寄せられ、「(事故を)身近に感じたことがある」と答えた施設が56あり、49・1%を占めた。患者に被害が及ぶケースは少なかった。

安全管理対策については、事故の分析や再発防止に取り組む「医療安全管理委員会」を設置している施設が101(88・5%)あり、設置を義務づけられていない無床診療所でも高い設置率が報告されている。

一方、精子や卵、胚などの取り違え防止や事故発生時のマニュアルの有無については87施設(76・3%)が「なし」と回答。患者誤認防止のために患者参加型でフルネーム確認に取り組んでいるのは43施設(37・7%)だった。

調査した福田看護師長は「現場レベルでの安全対策は把握できたが、フルネーム確認などはさらに進める必要がある。医療施設全体でリスクの高い事故事例を共通認識するためにも、学会レベルで共通の安全管理指針を設けることも必要だ」などと話している。(毎日新聞より)

《コメント》

事故の共通認識は確かに必要ですが、これらのほとんどのケースは従来、他科で行われているリスクマネンジメントで十分対応が可能と言われています。新たにシステムを作り、それを推進することで不妊治療費が高くなる。これだけは避けてもらいたいですね。

2008年12月13日 (土)

夫婦以外の体外受精を容認

不妊治療実施施設の医師らでつくる日本生殖医学会は13日までに、夫婦間以外の体外受精による不妊治療を容認する方針を固めた。家族や知人からの精子、卵子の提供も認める。来年3月をめどに指針をまとめる。夫婦間以外の体外受精をめぐっては、日本産科婦人科学会は「現時点では実施するべきでない」との立場だが、海外に渡り精子や卵子の提供を受ける夫婦も相当数いるとされ、現場レベルの動きが進んだ形。

2008年12月 8日 (月)

70歳女性が体外受精の出産

8日付のインド紙タイムズ・オブ・インディアなどによると、インド北部ハリヤナ州に住む70歳の女性が体外受精で11月末に女児を出産した。母子ともに健康で、同紙などは世界最高齢出産と報じている。女性は結婚後五十年以上も子どもができなかったが、今年に入り不妊治療を受けていた。父親になった男性(72)は、子どもが欲しいとずっと願っていた。

2008年11月24日 (月)

大麻は男性不妊やがんの原因に

「大麻は害が少ないというのは、本当なのか。九州大学薬学研究院の森元聡教授(生薬学)は、こう話す。

「薬物には、切れるとほしくなる精神的依存性と、体調を壊す肉体的依存性の2つがあります。大麻は、両方とも少ないと言われています。また、毒性も弱いとされます」

これに対し、タバコやアルコールは、肉体的依存性はなくても、精神的依存性は強いという。毒性についても、タバコのニコチンやアルコールを急に多量に摂取すれば死ぬことがある。こう見ると、害は少ないようにも思える。しかし、森元教授は、大麻には変わった作用があると指摘する。

「男性不妊やがんの原因になるのです。また、若年者が慢性的に吸引すれば、大麻精神病という統合失調症のような症状を示しやすくなります。もちろん、フラッシュバックといった幻覚もあります。無害と主張する人がいますが、変わった害があるんですよ」

さらに、大麻から始めて強いドラッグに進むケースも多いという。入り口になる薬物という意味で「ゲイティッドドラッグ」と呼ばれるゆえんだ。(2008.11.17 J-CASTニュースより抜粋)」

《コメント》

なぜ大麻がだめか。それはテストステロンを大幅に低下させるからです。このホルモンは精子の産生に関与するだけでなく、女性の場合は卵の質を左右するホルモンです。女性の場合、0.1ng位までテストステロン値を下げた場合、卵の質は大きく低下してしまいます。

ですから例え大麻が欧米では規制緩和されていようが、生まれてくる子供のために「ダメ。ゼッタイ。」なのです。

2008年11月13日 (木)

医療ナビ:妊娠高血圧症候群 晩産化で増加傾向。脳出血、胎盤早期はく離併発も

◆妊娠高血圧症候群 晩産化で増加傾向。脳出血、胎盤早期はく離併発も

◇定期健診で早期発見 塩分控え、安静で規則正しい生活を

初めての子を身ごもった38歳女性は、妊娠24週目の健診で最高血圧130、最低血圧80で「やや高い」と言われた。その3週間後、最高血圧が170~200と急上昇し、かかりつけ医の勧めで埼玉医大総合医療センター(埼玉県川越市)で診察した。妊娠高血圧症候群だった。血圧は薬で下がらず、脳出血などの恐れがあり、帝王切開に踏み切った。赤ちゃんは694グラムの超未熟児ながら母子ともに健康で、女性の血圧も下がった。

「母親が早めに対応したので良かった。しかし、出産の高齢化で高血圧や肝臓、腎臓病など素地のあるケースが増えている」と関博之教授(周産期学)は指摘する。高血圧患者が妊娠高血圧症候群になる可能性が高いことを知らされないまま、不妊治療を受ける事例も目立つ。

●根本的治療は出産

かつては妊娠中毒症と呼ばれていたが、05年に改められた。妊娠20週から出産後12週までの間に最高血圧140以上、最低血圧90以上になる場合や、同時に尿にたんぱくが出る場合をさす。また、頭痛や目のチカチカ、吐き気や胃の不快感などの症状が表れる場合がある。

けいれんや大量出血で死に至る恐れがあるほか、肺塞栓(そくせん)や脳出血、胎盤早期はく離を併発することがある。死産になったり、脳障害などの後遺症が子どもに残ることもある。妊娠32週より前に発病すると重症化しやすいとされる。以前は、むくみ(浮腫)が重視されたが、今は28週未満の妊娠早期と、出産直前に顔つきが変わるほど全身、特に上半身がむくむ場合のみ要注意としている。

この病気は紀元前の古い医学書にも登場し、発生頻度は全妊娠の3~5%。胎盤の血管が細くなって血が流れにくくなるため、胎児に多く血液を届けようと血圧が高くなる仕組みだ。

治療は、薬を使った高血圧の対症療法が中心だ。関教授らは血管を緩める働きのあるぜんそく治療薬を試験的に患者の同意を得て使い、8割で重症化の予防効果があった。しかし、胎児への影響が不明で使用できない薬も多く、母体を守るため血圧を下げ過ぎると、胎児への血液が不足するという板挟みにあう。

根本的な治療とは出産することだ。一日でも長く母親の体内にとどめて胎児の成長を促しながら、母子の状況で帝王切開に切り替える緊急対応が必要だ。超未熟児を扱える施設は少なく、埼玉医大も新生児集中治療室(NICU)の利用状況をにらみながら緊迫した日々になっているという。

●血圧こまめに測って

対策は、定期的に健診を受け、早期発見することから始まる。「公的支援制度もある。お金がないと言う前に健診先で相談してほしい」と関教授は語る。家庭用血圧計で日々の血圧を測るのもお勧めだ。通常、妊娠12~28週は血圧がやや下がりぎみになるが、逆に徐々に上がるようなら正常範囲内でも注意が必要だ。

診断されたら、塩分摂取量を1日7~10グラムと、普段より約3割減らす。家事程度の安静で規則正しい生活が望ましい。たばこや酒はやめ、水分をこまめに取る。

初産で発病することが多く、1子目で発病していれば2子目もなる可能性が高い。また、以前の出産では大丈夫でも、パートナーが変わると発病したりと「免疫上の相性」が発病になんらかの関係があるらしい。

●ガイドライン作成

東京で起きた病院の相次ぐ妊婦受け入れ拒否は、現在の医療体制の課題を浮き彫りにした。一方で、出産の高齢化に伴い今後、増える可能性がある。

日本妊娠高血圧学会は初の診療ガイドラインを作成し、来年初めに出版し知識の普及を図る。佐藤和雄理事長は「欧米で使える薬が日本では未許可だったりと治療の制約も大きい。お産は危険が伴い、人手がかかることを忘れてはならない」と訴える。【山田大輔】

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■妊娠高血圧症候群の分類 血圧の単位はミリHg

        最高血圧    最低血圧   尿たんぱく

前症(予備群) 120~139 80~89

軽症      140~159 90~109 0.3~2グラム

重症      160以上   110以上  2グラム以上

 =日本妊娠高血圧学会など

毎日新聞 2008年11月11日 東京朝刊より

2008年11月 8日 (土)

精子形成にタンパク質「インテグリン」関与 京大チーム解明

精巣での精子の形成に「インテグリン」と呼ばれる特殊なタンパク質が関与していることを、京都大学医学研究科の篠原美都(みと)助教(生殖生物学)らの研究チームがマウスを使った実験で突き止め、研究成果が6日発行の米科学誌に掲載される。研究チームは、精子が作り出されるメカニズムの解明につながり、男性の不妊治療の研究にも役立つ成果としている。

研究チームは、精子をつくる精子幹細胞にみられる多くのタンパク質の中から「β1(ベータワン)インテグリン」に着目。遺伝子工学の技術を使ってβ1インテグリンが欠損したマウスの精子幹細胞をつくり、ほかのマウスの精巣に移植して実験したところ、正常なマウスの幹細胞に比べて精子の形成能力が4分の1から5分の1に低下することがわかった。

インテグリンは造血幹細胞にも関与している物質とされ、造血幹細胞を、骨髄内の「ニッシェ」と呼ばれる幹細胞が働きやすい環境につなぎ止める働きがあるとされる。

精子幹細胞においても、精巣内の精原細胞の基底膜に同じような環境があると考えられており、研究チームは、インテグリンが精子幹細胞を精原細胞の基底膜につなぎ止める働きを持っていると推察。「精子幹細胞移植などによる不妊治療の研究に役立つ成果」としている。

2008年11月 5日 (水)

受けづらいけど子宝のためなら…男性不妊治療のススメ

子宝に恵まれないのは自分のせい? そんな思いを抱きながらも、不妊治療を受けづらいと考えている人はいるだろう。どのような検査や治療が行われているのか、専門医に話を聞いてみた。

「不妊の原因の半分は男性にあります。女性の不妊症の検査では痛みが伴いますが、男性の検査では痛みはありません。そのため、男性にも積極的に検査を受けていただきたい」

こう話すのは、男性不妊治療専門の「恵比寿つじクリニック」(東京都渋谷区)の辻祐治院長。福岡大学医学部助教授を経て、2003年に福岡市で同専門クリニックを開業。男性が不妊相談のできる医療機関が少ないことを受けて、このほど都内にも開業した。辻院長に話を聞いた。

「精液検査だけでも、男性不妊のかなりの部分がわかります。精液はプライバシーの保たれた防音室で、ご自身で採取していただき、検査結果は1時間後には出ます。その間、外出されても、後日結果を知ってもよいのです」

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